親の愛


今年の年末年始は、暦の関係もありましたが、ホントあっという間でしたね。
風邪引いて寝込んでるうちに、もう帰らなければならない日となりました。
帰りは弟夫婦とスケジュールが合わなかったため、一人電車で帰ることになっていました。




その日は朝から結構な雪が降っていました。




最寄駅まで父に車で送ってもらい、到着。
正月だけあって、帰省客で狭い駅の待合室が満員御礼状態でした。




電車到着10分前になりました。
待合室にいた人たちが次々にホームへ出て行きます。
ホームに屋根はあるものの、降り続く雪が風に舞って入り込んできていました。




ふと線路脇のフェンスの向こう側に目をやると、雪の中、ずっとホームの方を見て心配そうに見つめている、割烹着を着た年配の女性がいました。
その視線が私の方へ向いていたので、「知り合いかな?」とも思ったのですが、面識はないようでした。
よくよく見てみると、私の横にいる20歳前くらいの男の子を見ていることがわかりました。




多分この子のお母さんなんだろうな、と思いました。
そのお母さんは、ずーっとその子の方を見ていました。
でも男の子は、お母さんの方を見向きもしませんでした。
ちょっと多感なお年頃というか…照れくさい年代なんだろうな、と。
彼はずっと携帯をいじっていました。




雪はますます強くなる一方。
お母さんの割烹着にも、雪が降り積もっていました。
雪の影響で、電車の到着も遅れ。
乗客がホームに出てから20分は経っていたでしょうか。
もう一回お母さんの方を見てみると、息子(らしき人)の方を見て、ずっと手を振っていました。
そこから少なくとも5分以上は手を振っていました。




でも彼は一瞥すらしません。
携帯をいじり続けるばかり。
なんだかだんだん腹が立ってきました。
恥ずかしいという気持ちはなんとなくわからないではないけど。
こんなにも愛情を注いでくれる母親に対して、そんな態度でいいのかと。




(兄ちゃん、ちょっとはお母さんに応えてあげな…。)
そんな言葉をかけようかと思った時、電車が到着しました。
押し流される人波の中で、彼を見失ってしまいました。
その後、母親に少しは応えてあげたのか…。
実際のところはわかりません。
でも、少しは手を振り返したりしてあげたんだと思いたい。
多分それでお母さんは嬉しかったんだと思うから。




そんな帰省の1コマでした。














ちなみにウチの親は「駅伝見る。」と言ってあっさり帰って行きました。




べっ、別に寂しくなんかないんだからねっ。