兄弟の絆(後編)


35年間。


35年という年月は、当たり前ですが決して短くはありません。


その35年間。
私は彼の兄として過ごしてきました。






ですが。
彼と私は、何もかもが違いすぎました。
彼と私は、これまで全く異なる人生を歩んできました。






私が本田美奈子ファンなら、彼は中山美穂ファンでした。


私が南野陽子ファンになれば、彼は浅香唯ファンになり。


同じ中学に通えば、「あの根暗な先輩は、カッコいいあの人の兄。え〜?信じらんない」。


私が高校で写真研究会に入れば、彼はサッカー部のエースになり。


私が1人寂しく北海道の寒い寮に住みながら家賃を補助してあげてた彼の下宿先にはいっつも違う彼女。


私が部屋に引きこもってぼーっとしてる間に、彼には温かい家族が。








神様は不公平です。








何ならウチの両親が不公平だ。








弟とは、時に喧嘩もしたけれど、仲の良い関係です。
弟嫁が私の大学の後輩だってのもあって、弟家+弟嫁実家ともすごくいい関係だと思います。
でも、そんな弟と何か趣味が一致することは、この35年間、一度もありませんでした。








この兄弟が、今、わかり合ったのです。






これは奇跡です。
奇しくも、2012年末はももクロが結成以来の念願だった紅白歌合戦に出場する年。
私はこの年末を迎えられたことに喜びを禁じ得ない!
家族の前で1人だったらさすがに気恥ずかしいけど、2人なら何とかなる。
さあ弟よ!
2人で彼女たちの雄姿を見届けようではないか!!






〜中略〜






気づいたら酔っぱらって自分の部屋で寝てました。








が。
朦朧とした意識の中、たまたまももクロ出演前に目が覚めましてね。
何とか彼女たちの出演シーンを見ることができました。
詳細は省きますが、もう号泣ですよ。
むしろ家族と一緒じゃなくてよかった、くらいな。





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そんなこんなで2013年は明けました。




朝起きて、姪っ子と甥っ子にお年玉をあげたり、お雑煮を食べたりしていました。






そして一息ついた時のこと。
弟がぽつりとつぶやきました。








『兄ちゃん・・・。6人、だったね・・・。』







私はその言葉に対して答えました。








「ああ。ももか、ギリだったよな・・・。」








このイケメンっぽい会話が2013年初の兄弟の会話でした。
でも、それだけで兄弟はわかり合えたのでした。
35年間で初めての出来事でした。








ちなみに末の弟
(3男・30歳・兄弟の中で1番のイケメン・小学生の時サッカー日本代表両親は不公平d
は、その会話を聞いて至極もっともな言葉を口にしました。








「・・・兄ちゃんたち、何言ってんの?」







彼と分かり合えた時、その時こそ、私たち3兄弟は初めて一つになれる気がするのです。